ショートストーリー
明日への贈り物 Episode8
誰にも会えないコロナ禍の母親 自粛期間の密室育児
いばらきの子どもと子育てファミリーへある家族の物語をご紹介します。
この物語が誰かの救いや気づき、そして児童虐待防止につながることを願って。
初めての育児と生活環境の急変 SNSで支えあう「同志」の存在
昨年、出産を機に仕事を離れ、家事に専念する事にした私。子育てが始まって間もなく、新型コロナで世間は一変した。
育児相談ができる施設は次々に閉鎖となり、自治体の窓口も制限がかけられている。実家は遠方でリスクが高く帰省すらできない。だから娘は私が見てあげないと…… 家ごもりを強いられた孤立状態の子育てに、自分がどんどん余裕を失っていくのがわかった。
目の前の事だけで精一杯だったある日、SNSでオンライン子育てサークルを見つけた。調べると自分の住んでいる地域でもあるらしい。
初めて使うツールにドキドキしながらログインすると、そこには自分と似た境遇のママがたくさん。意を決して打ち明けた悩みに「わかる」「私も」と共感され、ふっと肩の力が抜けた気がした。
それから1年。困ったことがあれば相談し、新米ママにアドバイスをすることもある。あの時、勇気を出してこのサークルに繋がったことで、私はこうして時代に合った形で子育てを支え合える同志を見つけることができた。街では未だに感染の不安は消えていない。でも、子育ての不安は、少しずつ消えてきた。
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています