令和6年度文化財巡回企画展
「中根・金田台地区の遺跡」
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令和6年度文化財巡回企画展
「中根・金田台地区の遺跡」
国史跡指定20周年を迎えた、奈良・平安時代の常陸国河内郡役所跡とされる金田官衙遺跡をはじめ、中根・金田台地区の旧石器時代から中世までの遺跡を紹介します。
つくば市内・桜地区にある金田官衙遺跡が、国史跡指定から20年経ったことを記念して開催されている展示です。金田官衙遺跡は奈良・平安期に存在したとされる常陸国河内郡衙の跡だそうで、河内群衙・正倉・九重東岡廃寺があったようです。この地域とその周辺は、既に古くからの生活痕があり、市内最古級(約34,000年前)とされる旧石器期の石器群(栃木・東北産らしいため、人の移動等が推定される)が出土(上境滝の台古墳群・上境旭台貝塚)しているとか。特に縄文後期前葉~晩期の上境旭台貝塚・中根中谷津遺跡では、普通は出土し難い木製鉢や杓子、弓、編組製品等が見つかっているのが素晴らしい。とりわけ縄文後期中葉の木製漆器鉢は、細かい格子状模様を彫刻し、赤色顔料を含む赤漆を重ね塗りした芸の細かいものだそう(上境旭台貝塚出土)。この赤色顔料はベンガラ(酸化鉄)と水銀朱を使っているそうですが、水銀朱の採掘場所は関東では現在までに発見されていないため、その由来が気になるところです。さらに古墳期(4-6世紀)には金田郡衙遺跡周辺に大型円墳や前方後円墳が多く造営され、後の郡衙や廃寺との関係性が考えられるとか。出土物で目を惹くのが機織形埴輪(上境作ノ内1号墳)。全国で3例目という極めて珍しく、かつ構造的に複雑な埴輪で、今回初めて知りました。埴輪と言うと素朴なものを想像しがちですが、機織機のような複雑なものも作られていたとは、ちょっとした驚きでした。